エンドロールには早すぎる

小さい頃、クリスマスまで数えられる、お菓子が入っているカレンダーを親がよく買って来ていました。

アドベントカレンダーという名前があるのは大人になってから知ったのですが、日にちのところを開けると、お菓子が入っていて、毎日そのお菓子をひとつ食べて、楽しみながらクリスマスを待とう、みたいなコンセプトだと思います。

ただ、僕は待ちきれなくて買ってもらった日に5日分ぐらい食べようとして、母親に「そういう物ではない」と笑われながら怒られていた記憶があります。

1日お菓子1個だけというのが我慢できなかった(もっと食べたい)のと、子どもにとってクリスマスは早く来てほしいもので、逆に余計に長く感じてしまった気がします。

カレンダーの日付を早く開けることで、クリスマスが早く来るみたいな感じもあったのかもしれないです。

年の瀬になると、1年また過ぎ去ってしまったなと思います。

別に生き急いでいるつもりはないのに、1日1日を過ごしたという感覚より、過ぎ去ったなと思ってしまうのは、なんか寂しい。

最近言葉の勉強をしたいと短歌の詩集を読んでいるのですが、俵万智さんの『サラダ記念日』という詩集の中に

会うまでの時間をたっぷり浴びたくて各駅停車で新宿に行く

という好きな歌があります。

会いたいから早く行くのではなく、それまでの時間を楽しもうという感性ってすごいなと思います。

もし人生をアドベントカレンダーだと仮定した場合、最期の瞬間をゴールに、毎日ひとつずつ開けながら進んでいることになります。

ただ、クリスマスのアドベントカレンダーと違って、人生だと何日かまとめて開けられないのだから、焦っても仕方なくて日々の楽しみ(アドベントカレンダーに入っているお菓子)を味わいながら、過ごしていくのが良いかもしれない。

そんなことを、毎年年末のこの時期になると考えます。


▼今夜の気分